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老人ホーム豆知識
【比較表で早わかり】特養と老健の違いとは?費用・条件から選び方の全手順まで専門家が徹底解説
老人ホーム選び

特養と老健、どちらを選ぶべきか迷っているあなたへ
親の介護が必要となったとき、多くの方が直面するのが施設選びの悩みですよね。
「特養と老健、名前は聞いたことがあるけれど、何が違うのかわからない」
「パンフレットを見ても専門用語ばかりで、結局どちらが私たちに合っているの?」
「費用はどのくらい違うの? 入居できる条件は?」
このような疑問を抱えながら、インターネットで情報を探しても、断片的な説明ばかりで全体像が掴めず、かえって混乱してしまう…そんな経験をされていませんか?
この記事では、老人ホームの現場で長年専門家として活動してきた筆者が、特養と老健の違いをゼロから丁寧に解説します。
単なる基礎知識の羅列ではなく、「あなたの場合、どちらを選ぶべきか」という実践的な判断基準と、具体的な選び方の手順まで、この記事一本で明日からすぐに行動に移せる知識が手に入ります。
この記事の監修者
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桜十字グループ CQ本部 部長
中川 朋子
九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻修了(MBA)。
福岡大学病院にて副病院長兼看護部長を務め、同大学医学部で集中看護教授としても教鞭を執る。
看護師資格に加え、GCS認定コーチの資格も有する。
2015年には福岡県知事表彰を受賞。
簡単に分かる!特養と老健の最大の違いは「目的」
まず結論からお伝えします。
特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の最大の違いは「施設の目的」です。
特別養護老人ホーム(特養)の目的は 「終の棲家(ついのすみか)」として、長期的な介護を受けながら生活する場所です。在宅での生活が困難になった方が、看取りまで安心して暮らせる生活施設がそろっています。
介護老人保健施設(老健)の目的は 「在宅復帰」を目指すリハビリテーション施設です。入院後、すぐに自宅へ戻るのが不安な方が、医療管理下で集中的にリハビリを行い、心身の機能を回復させる中間施設です。入居期間は原則3〜6ヶ月と定められています。
この「目的」の違いが、入居条件・費用・サービス内容など、すべての違いを生み出しています。
【比較一覧表】5つの重要ポイントで違いを速攻チェック!
| 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | |
| 目的 | 生活の場所 「終の棲家」 | リハビリ施設 (在宅復帰目的) |
| 入居条件 | 65歳以上 要介護3以上 | 65歳以上 要介護1以上 |
| 入居期間 | 終身利用可能 | 原則3〜6ヶ月 |
| サービス | 日常生活の介護 | 医療ケアリハビリが中心 |
| 費用(月額目安) | 約9~15万円 | 約10~20万円 |
特養と老健の「違い」を徹底比較!知るべき7つの重要項目

ここからは、施設選びの判断基準となる7つの重要項目を詳しく解説していきます。
ここを間違えてしまうと大きなミスに繋がってしまうこともありますので、しっかりとチェックしてください。
【その1】入居の目的が違う!「暮らしの場」か「リハビリの場」か
最初にもご紹介したように、この二つの施設は目的が大きく異なっています。
特別養護老人ホームは暮らしの場として、介護老人保健施設はリハビリの場としての側面を強くもっているので、施設選びの際は以下の違いを理解して選びましょう。
- 「生活施設」である特別養護老人ホーム
- 特養は介護保険法において「介護老人福祉施設」と位置づけられ、常に介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する生活施設です。
入所者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする」ことを目指し、生活の継続性に重きが置かれています。 - 「中間施設」の介護老人保健施設
- 老健は「介護老人保健施設」とされ、心身の機能の維持回復を図り、在宅生活を営むことができるようにするための支援が必要な方が入所する中間施設です。
病院での治療を終えた後、すぐに自宅に戻るのが難しい方のための、リハビリテーションに特化した施設とイメージするとわかりやすいでしょう。
【その2】入居条件が違う!要介護度と対象者の違い
入居条件も施設を考える際に欠かせないものです。
主に要介護度によって入居ができるのかどうかが決まります。
- 特養は原則「要介護3以上」
- 特養に入居するには、原則として65歳以上で、市区町村から「要介護3」以上の認定を受けている必要があります。これは2015年4月の制度改正で定められた基準で、より介護の必要性が高い中重度の方へサービスを重点化する狙いがあります。
- 老健は原則「要介護1以上」
- 老健は、65歳以上で「要介護1」以上の認定を受けていれば入居対象となります。
在宅復帰に向けたリハビリを目的とするため、比較的介護度が低い方から重度の方まで、幅広く受け入れています。
基本的には要介護度によって入居が決まることが多いですが、要介護1や2の方でも以下のようなやむを得ない事情があると市町村が判断した場合、特例的に入所が認められることがあります。
チェックポイント
認知症で日常生活に支障をきたす症状や行動が頻繁に見られる
知的障害・精神障害などを伴い、日常生活に支障をきたす症状が頻繁
家族による深刻な虐待が疑われ、心身の安全確保が困難
単身世帯で家族の支援が期待できず、地域の介護サービスも不十分
該当する可能性がある場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。
【その3】入居期間が違う!「終身利用」か「短期集中」か
入居期間は要介護者のこれからを考えるうえで無視できないものです。
生活をどのように行っていくかで大きく違いがあるところなので、確認していきましょう。
- 特養は看取りまで見据えた「終身利用」
- 特養では、一度入居すれば原則として生涯にわたって施設で生活できます。
厚生労働省の調査によれば、特養の平均在所日数は約3. 2年(1,177日)で、他の介護施設と比較して圧倒的に長いのが特徴です。入居者が亡くなるまで、あるいは長期入院が必要になるまで、施設の中でその人らしい生活を支え続けます。 - 老健は在宅復帰を目指す「短期集中」
- 老健の入居期間は「原則3ヶ月」と定められており、この期間内に集中的なリハビリを行います。3ヶ月経過時に、医師やリハビリ専門職、ケアマネジャーなどが「退所判定会議」を開き、在宅復帰が可能かどうかを評価します。継続的なリハビリが必要と判断されれば、入所期間が延長されることもあります。
実態として、老健の平均在所日数は約10.2ヶ月(310日)となっており、多くのケースで入所が延長されています。しかし、特養のような終身利用は前提としておらず、いずれは「退所」という次のステップが待っている中間施設です。
【その4】費用が違う!初期費用と月額利用料の違い
料金の話も介護の選択を考えるうえで欠かせません。
その中でも特養と老健の最大のメリットは、多くの民間有料老人ホームで必要となる「入居一時金」のような初期費用が一切かからない点です。
ですが、メリットは同じでも違いはありますので、そこを見ていきましょう。
- 特養の月額費用は、平均約9万円〜15万円
- 特養で重要なのが「負担限度額認定」制度です。所得や資産が一定基準以下の方は、居住費と食費の自己負担額に上限が設けられ、負担が大幅に軽減されます。
実際、特養入所者の約7割がこの低所得者向けの負担軽減措置を受けており、特養が「社会的なセーフティーネット」の役割を担っていることがわかります。 - 老健は月額費用は、平均約10万円〜20万円
- 医師やリハビリ専門職が常駐し、医療的ケアや機能訓練が充実している分、施設介護サービス費が高めに設定されています。
老健にも所得に応じた負担軽減制度はありますが、短期的な利用が前提のため、特養ほどの費用的メリットは感じにくいかもしれません。
【その5】サービス内容が違う!「生活支援」か「医療・リハビリ」か
施設のサービスも目的が違うため、おおきな差があります。
サービスは施設で暮らしていく家族のことを考えるうえでとても重要になるところですので、おさえておきましょう。
- 特養は穏やかな日常生活を支える「生活支援」
- 特養で提供されるサービスは、入居者がその人らしい毎日を送るための生活支援が中心です。
【主なサービス内容】
身体介護:食事、入浴、排泄、着替え、移動などの介助
生活援助:居室の清掃、整理整頓など
健康管理:看護職員によるバイタルチェック、服薬管理
機能訓練:身体機能維持のための体操やレクリエーション
食事サービス:栄養バランスの取れた食事(きざみ食やミキサー食にも対応)
「生活の場」であるため、サービスは日々の暮らしに密着したものが主となります。 - 老健は在宅復帰を叶える「医療・リハビリ」
- 老健のサービスは、在宅復帰という明確なゴールに向けた医療的ケアとリハビリに重点が置かれています。
【主なサービス内容】
リハビリテーション:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が個別リハビリ計画に基づき訓練を実施
医療的ケア:医師・看護職員による医療管理で経管栄養、喀痰吸引、褥瘡処置など対応
看護・介護:リハビリ効果を日常生活に活かすための24時間体制サポート
栄養管理:管理栄養士が健康状態や回復に必要な栄養を考慮した食事を提供
老健は「生活の場」というより「治療・訓練の場」という色合いが濃いのが特徴です。
【その6】人員体制が違う!専門職の配置の違い
施設内にいる専門職の人も施設によって大きく異なります。
- 特養は介護のプロが中心の「生活重視」体制
- 特養の人員配置は、入居者の日常生活を24時間体制で支えることに主眼が置かれています。
介護職員・看護職員:入居者3人に対して1人以上配置(法定基準)
医師:常勤である必要はなく、多くは協力医療機関の嘱託医が往診
その他:ケアマネジャー、生活相談員、機能訓練指導員など
医師の常勤義務がない点は、特養が医療施設ではなく「生活施設」であることの表れです。 - 老健は医師・リハビリ職が常駐する「医療重視」体制
- 老健では、医療的管理下で在宅復帰を目指すため、より手厚い医療・リハビリ体制が敷かれています。
・医師:入所者100人に対して1人以上の常勤医師配置が義務
・リハビリ専門職:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の配置が必須
・看護・介護職員:配置基準(3:1)は特養と同じだが、看護職員の比率が高い
医師、看護師、リハビリ専門職、介護職員が一体となって、利用者の機能回復を多角的に支援します。
【その7】居室環境が違う!プライバシーと費用のバランスが決め手
- 【多床室】
- ・2〜4人で共同利用
・カーテンで簡易的に仕切られる
・費用が最も安価
・プライバシー確保は難しいが、他入居者との交流が生まれやすい - 【従来型個室】
- ・プライベート空間を確保
・自分の時間を大切にしたい方向け
・費用は多床室より高い - 【ユニット型個室】
- ・個室に加え、10人程度の「ユニット」ごとに共同生活室(リビング)を設置
・日中は共同生活室で過ごし、夜は自室でプライベート時間を確保
・より家庭に近い環境
・費用は最も高額だが、個別ケアが手厚く認知症の方にも効果的
現在の傾向として、新設される特養のほとんどが「ユニット型」を採用しています。「終の棲家」として、より質の高い生活環境を提供する国の方針が反映されているんですね。老健は短期利用が基本のため、費用の安い多床室からプライバシー重視の個室まで、多様なタイプが混在しています。
結局、どっちを選ぶべき?目的別フローチャート

「情報が多すぎて混乱してしまった」という方のために、あなたの状況に合う施設を段階的に判断できるフローチャートを用意しました。
大まかに自分たちはどのような施設が良いかを決めていきましょう!
Let‘sフローチャート診断!

- 【質問1】入院後の退院が迫っており、在宅復帰に向けたリハビリを主な目的としていますか?
はい→質問2へ
いいえ→質問3へ
【質問2】医師の管理下で、医療的ケアや専門職による集中的なリハビリが必要ですか?
はい→【A】ヘ
いいえ→【B】ヘ
【質問3】自宅での生活が困難で、長期的に暮らせる「終の棲家」を探していますか?
はい→質問4へ
いいえ→【C】ヘ
【質問4】介護保険の認定で「要介護3以上」または特例入所の要件に該当しますか?
はい→【D】
いいえ→【E】
- 診断結果の解説
- 【A】介護老人保健施設(老健)が第一候補です
あなたは病気や怪我からの回復期にあり、在宅復帰という明確な目標を持っています。
次のアクション
→病院の主治医やソーシャルワーカーと連携
→退院後の移行先として老健の情報収集
→リハビリ内容や在宅復帰率を比較検討
【B】在宅介護サービスの利用も検討すべきです
在宅復帰を目指していますが、必ずしも施設入所が必要ではないかもしれません。
次のアクション
→ケアマネジャーに相談
→通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリを検討
→必要に応じて老健の短期入所と組み合わせる
【C】入所目的を再整理すべきです
現時点では施設入居の目的が明確でない状態かもしれません。
次のアクション
→なぜ施設が必要なのか、どのような生活を送りたいのか整理
→家族やケアマネジャーとじっくり話し合う
→課題が明確になれば、選ぶべき道も見えてきます
【D】特別養護老人ホーム(特養)が第一候補です
あなたは中重度の介護が必要で、安定的かつ長期的な生活の場を求めています。
次のアクション
→市区町村の役所や地域包括支援センターで入所申込
→「待機リスト」に名前を載せる(複数施設への申込も可能)
→待機期間対策を検討
【E】民間施設なども視野に入れるべきです
特養への入居を希望していますが、要介護度が基準に満たない状況です。
次のアクション
→特養の待機を続けながら並行して他施設も検討
→有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、ケアハウスなど
→費用やサービス内容を幅広く比較検討
【実践編】後悔しない施設選びの5ステップを全網羅

各施設の基本的なことやフローチャートでどこが良いかを決めたら、いよいよ実践です。
ここでは、後悔しない施設選びを実現するための具体的な手順を5つのステップで解説します。
【ステップ1】情報収集・専門家に相談で味方集めをしよう
施設選びは一人あるいは家族だけで抱え込まないで、まずは専門家に相談してみましょう。
- すでに担当のケアマネジャーがいる場合
- すぐに担当のケアマネジャーに連絡を取り、状況を相談しましょう。
- まだいない場合
- 親が住んでいる場所の地域包括支援センターに連絡して、無料相談や要介護認定申請などの専門家のサポートを受けましょう。
【専門家が提供してくれる支援】
・地域の施設情報提供(条件に合う特養・老健のリストアップ)
・空き状況の確認(リアルタイム情報、待機者数)
・見学の予約・調整
・手続きのサポート(申込書類作成、役所への提出代行)
ケアマネジャーや地域包括支援センターは、施設選びという航海における経験豊富な航海士です。まずは有能な専門家に相談して、正確な海図を手に入れましょう。
【ステップ2】譲れない条件を明確にするため、リストアップと比較検討
次に候補施設を3〜5ヶ所程度に絞り込みましょう。ここで重要なのは「自分たち家族にとって譲れない条件」を明確化することです。すべての希望を100%満たす施設はありません。何を重視するのか、家族で話し合い優先順位をつけましょう。
- 【比較検討すべき主な項目】
- ・立地:自宅からの距離、面会のしやすさ、交通の便、周辺環境
・費用:月額利用料の総額、内訳、追加費用の可能性
・居室環境:個室か多床室か、広さ、日当たり、プライバシー
・医療・看護体制:協力医療機関、夜間の看護職員配置、対応可能な医療処置
・リハビリ体制(老健の場合):専門職の人数、訓練内容、在宅復帰率の実績
・食事:メニュー、味付けの評判、きざみ食や治療食への対応
・施設の雰囲気:スタッフや入居者の表情、施設全体の活気や落ち着き
各施設の情報(パンフレット、ウェブサイト)をじっくりと比較・検討し、見学に行くべき施設をリストアップしましょう。
【ステップ3】施設見学で確かめるべき15のチェックリスト
施設見学は、施設選びで最も重要なステップです。パンフレットでは伝わらない「施設の空気感」を肌で感じ取る絶好の機会です。
- 【施設見学15のチェックリスト】
- 《環境・設備》
・清潔さ:エントランス、廊下、共用スペースは清掃が行き届いているか
・匂い:不快な臭い(尿臭、体臭など)はしないか
・日当たり・明るさ:共用スペースや居室は明るく開放感があるか
・安全性:手すりの設置、段差の解消など、バリアフリーは徹底されているか
・居室の快適性:広さは十分か、家具の持ち込み可能か、トイレは居室内にあるか
《スタッフの様子》
・挨拶・表情:スタッフは明るく挨拶してくれるか、笑顔で働いているか
・言葉遣い:入居者に対して丁寧で尊重のある言葉遣いをしているか
・身だしなみ:清潔感のある服装か
・入居者との関わり:入居者の目線に合わせて親身にコミュニケーションを取っているか
・忙しさ:スタッフは常に忙しなく走り回り、余裕がないように見えないか
《入居者の様子》
・表情・活気:入居者の表情は穏やかか、明るいか、孤立している人はいないか
・身だしなみ:入居者の服装は清潔か、季節に合った服装か
・活動の様子:レクリエーションやリハビリに積極的に参加しているか、談笑する姿は見られるか
《その他》
・食事:可能なら昼食時間帯に見学し、食事の様子や内容を確認(試食できれば尚良し)
・質問への対応:こちらの質問に誠実にわかりやすく答えてくれるか
見学では、案内してくれる相談員だけでなく、すれ違うすべてのスタッフや入居者の様子に注意を払いましょう。そこに施設の日常が映し出されています。
【ステップ4】申し込むだけで終わりじゃない!「待機期間」への対策
見学を終え、入居したい施設が見つかったら申し込みの手続きに進みましょう。
しかし、特養には「ある落とし穴」があります。それは「待機期間」です。
- 【老健の場合】
- ・病院からの退院に合わせて入居するケースが多い
・病院のソーシャルワーカーやケアマネジャーが連携して手続き
・比較的スムーズに入居が決まることが多い
- 【特養の場合】
- ・申し込み:市区町村の役所の介護保険担当課や地域包括支援センターで行う
・優先順位:入居の必要性の高さを点数化(スコアリング)し、点数が高い人から優先
特養は費用が安価で人気が高いため、多くの施設で長い待機期間が発生しています。
都市部では「数年待ち」も珍しくないので、待機期間中に自宅でできる対策をしましょう。
- 【待機期間中の対策】
- ・介護サービスのフル活用
在宅介護を継続しながらショートステイ(短期入所生活介護)を定期利用し、介護者の休息を確保する。
・老健への一時的な入所
在宅介護が困難な場合、リハビリ目的で一時的に老健に入所し特養の空きを待つ
・他の選択肢の検討
待機期間が長期化しそうな場合、民間有料老人ホームも並行検討
老健でも待機期間が全くないわけはないので、申込むと同時に介護だけに囚われて心のゆとりを失わないための対策をしていきましょう。
【ステップ5】新たな生活へ!契約書の最終確認と重要ポイント
入居が決まったら、最後は施設との契約です。契約書は今後の生活のルールブック。焦らず、内容を隅々まで確認してから署名・捺印しましょう。
- 【特に確認すべきポイント】
- ・費用に関する項目
月額利用料の内訳、支払い方法、追加費用の詳細、料金改定の可能性
・提供されるサービス内容
契約書記載の介護・医療サービスが事前説明と一致しているか
・退去に関する要件
どのような場合に退去を求められるのか(長期入院、医療依存度の変化など)、返還金の有無や計算方法
・緊急時の対応
急な体調変化や事故発生時の医療機関との連携体制、家族への連絡方法
・身元引受人・連帯保証人
役割と責任範囲
専門用語が多くて難しい場合は、ケアマネジャーに同席してもらい一緒に確認すると安心です。すべての内容に納得できたら契約完了。新たな生活のスタートラインに立つことができます。
【先輩たちの声】特養・老健選びの失敗と成功

ここからは「実際に選んだ人はどうだったのか」という先輩たちのリアルな声をお届けします。失敗例や成功例はこれから選んでいく皆様の何よりの参考になります。
一緒に見ていき、同じ失敗を避けて成功をつかみましょう。
失敗例から学ぶ「こんなはずでは…」を防ぐ3つの教訓
- 【ケース1】費用の確認不足
- 「基本料金は安かったのに、気づけば予算オーバー…」
80代の母親のため、月額12万円という料金に惹かれて特養に入居を決めたAさん。
しかし、入居後におむつ代や日用品費、提携医療機関以外の病院への通院介助費などが次々と追加請求され、実際の支払いは毎月16万円超に。
「パンフレットの料金だけを見て判断してしまった。何が含まれていて、何が別料金なのか、契約前にもっと細かく確認すべきでした。」
<教訓>「総額でいくらかかるのか」を必ず確認する
月額利用料に含まれるサービスと、自己負担となるサービス(おむつ代、理美容代、レクリエーション参加費、通院同行費など)のリストを必ず書面で提示してもらいましょう。
- 【ケース2】目的のミスマッチ
- 「リハビリ目的で入ったのに、ほとんどしてもらえなかった…」
脳梗塞で倒れた父(75歳)の在宅復帰を目指し、老健に入所させたBさん。しかし、その施設はリハビリ専門職が少なく、集団での簡単な体操が中心。
「もっと歩行訓練などを集中的にしてくれると思っていたのに…。後から聞くと、その老健は看取りに近い長期滞在者が多く、在宅復帰率は低い施設だったようです。施設の『性格』を見極めずに選んでしまいました」
<教訓>施設の「目的」と「実績」をデータで確認する
老健を選ぶ際は、リハビリ専門職(PT・OT・ST)の人数、具体的なリハビリ内容、そして最も重要な「在宅復帰率」のデータを必ず確認しましょう。
- 【ケース3】雰囲気の不一致
- 「見学では良かったのに、実際の生活は窮屈だった…」
活発な性格の母親(85歳)のために、レクリエーションが盛んだと説明された特養を選んだCさん。しかし、実際には参加を強制される雰囲気が強く、活発とはいえ自分のペースで過ごしたい母親にとってはストレスになってしまいました。
「見学の時は活気があって良いと思ったのですが、母の性格には合わなかった。本人の希望や性格を、もっと深く理解してあげるべきでした」
<教訓>「本人にとっての快適さ」を最優先に考える
施設の雰囲気は、必ず本人と一緒に見学して確認しましょう。可能であれば、体験入所(ショートステイ)を利用し、実際の生活を数日間体験してみるのが最も確実です。
成功例に学ぶ「この施設で良かった」と思える選択の秘訣
- 【ケース1】ケアマネとの連携プレー
- 「待機期間を乗り越え、理想の特養へ」
要介護4の父親の特養を探し始めたDさん。当初はどこも満床で途方に暮れましたが、ケアマネジャーが「待機中はショートステイとデイサービスを組み合わせましょう。新設の特養情報が入ったらすぐお知らせします」と具体的なプランを提示。
約1年後、新設されたユニット型の特養に優先的に入居できました。
「ケアマネさんがいなければ、途中で諦めていたかもしれません。まさに二人三脚でした」
<教訓>信頼できるケアマネジャーをパートナーにする
専門家を最大限に活用し、チームとして施設選びに臨むことが、困難な状況を乗り越える鍵となります。
- 【ケース2】事前リサーチを徹底
- 「医療ニーズに完全合致した老健へ」
糖尿病と褥瘡(床ずれ)を抱える母親の退院にあたり、老健を探したEさん。病院のソーシャルワーカーに相談し、候補であった3施設について「褥瘡ケアの実績」「常勤医師の専門分野」
「管理栄養士による食事指導の体制」を徹底比較しました。
私はそのなかで最も実績が豊富で内科医が常勤している老健を選択しました。
「おかげで、入所中に褥瘡は完治し、血糖値も安定しました。安心して在宅復帰の準備ができました。」
<教訓>医療ニーズを明確にし、施設の対応力を比較する
持病や必要な医療処置がある場合、その対応が可能か、そして実績は十分かを具体的に確認することが、入居後の安心に直結します。
あなたと家族の未来を創るのは、最善の選択!

特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違いを巡る長い旅も、いよいよ終着点です。
まずは本記事の要点を振り返りましょう。
- 最大の違いは「目的」
特養は「終の棲家」としての生活の場、老健は「在宅復帰」を目指すリハビリの場 - 目的の違いがすべてを決める
入居条件、入居期間、費用、サービス内容、人員体制などを確認 - 選択の第一歩は「目的の明確化」
あなたやご家族が今、施設に何を求めているのかを自問することから始まる - 行動は「専門家との相談」から
一人で悩まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターという羅針盤を手に入れる - 最後は「自分の目と心」で決める
データや評判も重要だが、最終的にはあなた自身が施設を訪れ、その空気を感じ、心から納得できるかどうかが決め手
施設選びは、単なる「住む場所」を選ぶ作業ではありません。
これからの人生を、あるいはご両親の最期の日々を、どのように過ごしていくのかを決める、極めて重い、そして尊い選択です。
不安や焦りを感じるのは当然です。しかし、正しい知識を身につけ、適切な手順を踏めば、必ず「わが家にとっての最善の選択」にたどり着くことができます。
この記事が、あなたのその一歩を力強く後押しできたなら、筆者としてこれに勝る喜びはありません。
あなたとあなたのご家族が、心から納得のいく未来を創り出せることを、心より願っています。
参考文献
[1] 厚生労働省. 「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について (介護保険最新情報Vol.1141). 2023-04-07.
[2] 厚生労働省. 特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案).
[3] 厚生労働省. 介護老人保健施設.
[4] 厚生労働省. 介護保険と老健施設. 全国老人保健施設協会.
[5] 厚生労働省. サービスにかかる利用料.
[6] 厚生労働省. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム). 2020-08-22.
[7] e-Gov法令検索. 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準.
[8] 厚生労働省. 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について.
[9] 厚生労働省. 新型特別養護老人ホーム(全室個室・ユニット化).
ホスピタルメントは、全国で病院、クリニックを運営する桜十字グループが地域医療で培った経験とノウハウを詰め込んだ有料老人ホームです。医療機関との連携による「医療のバックアップがある介護」で安心の土台を支えます。
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