基礎知識

認知症の種類と特徴

認知症の種類と特徴

皆さんは認知症と聞いてどのような状況を思い浮かべるでしょうか。

多くの方は「もの忘れがひどくなった」や「もの覚えが悪くなった」といったことを想像されると思います。誰でも年齢とともにもの覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりします。こうした「もの忘れ」は脳の老化によるものです。しかし、認知症は老化によるもの忘れとは異なります。認知症は何かの病気によって起こる症状や状態の総称です。そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。 今回は認知症に関して知っておくべき知識を解説していきます。

老化による“もの忘れ”と“認知症”の違い

認知症とは認知機能が何らかの原因で低下して日常生活に支障をきたす状態の事を言います。

「印鑑をどこに置いたかな?」「あの人の名前は何て言ったかしら?」このように体験したことの一部を忘れるのはいわゆる「もの忘れ」です。例えば、うっかり昨日の食事は何を食べたか思い出せないことはあっても、何かを食べたことは覚えています。落ち着いて記憶をたどり、ヒントがあればふと思い出すことができます。

一方で認知症の場合、食べたものだけでなく食べたこと自体を忘れてしまったり、メニューを教えられても思い出せなくなります。食べたこと自体を忘れてしまうため「忘れた」という自覚もありません。このように認知症は一般的なもの忘れと異なり、日常生活にも支障が及びます。早期発見するためにも、まずは認知症に現れる初期症状を見ていきましょう。

認知症の初期症状

「同じことを繰り返し言う」「以前はできていたことができなくなる」「同じ服ばかり着る」「物忘れや探し物の回数が増える」などが挙げられます。自分の年齢や「今日は何年何月何日の何曜日か」「今の季節は何か」「今どこにいるか」などがわからなくなっている様子が見られたら、認知症の初期症状と言えます。できるだけ早めに専門医の診察を受け、症状を悪化させないよう対処することが望まれます。

中核症状

認知症の症状は大きく「中核症状」と「周辺症症状(BPSD)」に分けられます。 中核症状には「記憶障害」「見当識障害」「失認・失行・失語」「実行機能障害・判断力障害」 があり、認知症患者には必ずいずれかの症状が現れます。認知症の原因となる疾患によって脳細胞が委縮、変性するために起こる器質的な障害と見られています。

周辺症状(BPSD)

中核症状が原因で引き起こされる二次的な症状が周辺症状です。具体的には「徘徊」「抑うつ」「失禁・弄便」「幻覚」「妄想」「睡眠障害」「暴言・暴力」などがあります。

認知症のほとんどを占める4大認知症

認知症には複数の種類があり、その発症原因や症状、症状に対する対応方法はさまざまです。認知症は大きく分けて次の4種類に分類することができ、これらは《4大認知症》と呼ばれ、全体の90%を占めています。4大認知症はそれぞれ初期症状や進行に違いがあります。

アルツハイマー型認知症

患者数が最も多く、特に女性に多く見られる傾向があります。アルツハイマー型認知症は、つい最近のことや出来事自体の記憶がすっぽりと抜け落ちる記憶障害が起こります。原因としては異常なタンパク質を分解しきれずに、脳の神経細胞に蓄積して神経細胞を破壊し、脳を萎縮させているということが分かっています。これにより親しい人を忘れるなどの記憶障害や、ここがどこなのか、今がいつなのか分からないといった見当識障害などの症状が起こります。根治療法はまだありませんが、進行を遅らせる薬があります。

《アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる4つの薬》

  • ドネベジル(アリセプト)
  • ガランタミン(レミニール)
  • リバスチグミン(リバスタッチ、イクセロン)
  • メマンチン(メマリー)

前頭側頭型認知症(前頭側頭葉変性症の一種)

思考活動を支える前頭葉や言葉の意味などを把握する側頭葉が変性・萎縮して起こります。その中で脳の神経細胞にたんぱく質が蓄積した「ピック球」が見られるものをピック病と呼んでおり、前頭側頭型変性症患者の約80%がピック病に該当すると言われています。しかし、ピック球の発見は難しく、アルツハイマーやうつ病などの精神疾患と混同されるケースも多いです。初期症状の特徴として反社会的行動(無銭飲食、万引きなど)が強く現れ、人格の変化が目立ちます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は70代以降に見られることが多い認知症で、脳の様々な部位にタンパク質のかたまりであるレビー小体ができることで発症します。遺伝子が関わるケースもありますが、そのほとんどが孤発性です。

症状の現れ方には個人差がありますが、いるはずのない子どもが家の中にいるなどのはっきりした幻視やパーキンソン病のような症状が現れる傾向があります。アルツハイマー型と比較すると脳の萎縮が軽く、記憶障害が軽度なのが特徴です。

脳血管性認知症

血管性認知症の患者の95%以上は65歳以上の高齢者と報告されており、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害(脳卒中)の発作をきっかけに突如発症します。病変が小さくても再発を繰り返すことによって本人の知らないうちに認知症になることもあります。

意欲低下が目立ち、脳梗塞(脳出血)でみられるような歩行障害や言語障害、嚥下障害を伴います。しかし、症状にムラがあるのも特徴で「まだら認知症」とも呼ばれます。意識がはっきりしている時とぼーっとして反応が鈍い時との意識レベルに波があるのも特徴です。生活管理とリハビリで脳梗塞(脳出血)を予防することで認知症の進行を遅らせることができます。

4大認知症以外の認知症

前述した4大認知症以外にも認知症の症状を引き起こす病気はさまざまあります。なかには適切な治療を受ければ改善するものもあれば、脳細胞を診断しなければ発見が難しい認知症も存在します。

若年性認知症

65歳未満で発症する認知症のことを若年性認知症と言います。若年性認知症を発症する平均年齢は51歳前後。若年性認知症の約6割は脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症で占められています。症状は高齢者の場合と同じですが、年齢が若いことから「まさか自分が」と思われることが多く、うつ病や更年期障害と間違われて診断が遅れるケースも少なくありません。

特徴としては非常に進行が速い病気であり、例えば40歳代で発症すると進行速度は高齢者の2倍以上になると言われています。年単位ではなく月単位で進行が進むこともあり、早期発見と早期治療がより重要となります。

アルコール性認知症

アルコールを大量に摂取し続けると脳の血管が損傷し認知症を発症することがあり、これをアルコール性認知症と言います。アルコールを多量に飲み続けた事により、脳梗塞などの脳血管障害やビタミンB1欠乏による栄養障害などを起こし、発症するとされている認知症です。高齢者だけではなく若い世代にも見られます。治療としては長期間断酒をすると認知症の症状が改善され機能回復するケースも多くあります。

正常圧水頭症

脳脊髄液が脳室に溜まり、脳室が大きくなって周りの脳が圧迫されることで起こる病気です。特徴として集中力・意欲の低下や歩行障害や尿失禁などの症状の他、認知症の症状も発症します。正常圧水頭症でよく見られる症状はその他の認知症と似た症状になりますので正しく診断されないケースもあります。アルツハイマー型などと異なり、手術による治療で改善が期待できますので早期発見が肝心です。

認知症を理解するために知っておくべき特徴

認知症についてまず理解すべきなのは不安なのは本人自身であるという事です。周りの人間が戸惑ってしまうことはもちろんですが、何より本人が一番「自分や周りのことがわからなくなる」という事への恐怖心の中で日々を過ごしています。

先にも述べた通り、認知症の種類は1種類ではありません。それぞれで症状が違う場合もありますが、共通する特徴もあります。認知症を理解するために主な6つの特徴を押さえておきましょう。

  • 症状は身近な人間に顕著に出る
    身近で親身に世話をしている人間にはわがままになり、感情が抑えられない傾向があります。一方でたまにしか会わない親戚や外部の人間には何の問題もないような様子を見せる事が多いのが特徴です。
  • 激しいもの忘れ
    もの忘れの特徴としては「新しいことが覚えにくい」「過去の記憶は残っている」「経験したことを丸ごと忘れてしまう」の3つが共通して挙げられます。
  • 意識がしっかりしている時もある
    介護者など周囲の人は認知機能の変動が生じることを念頭に置き、ご本人の頭の働きの状態を把握しておくことが大切です。状態を把握することで、大事なことは頭がはっきりしている時に伝える、ボーとしている時には「一人で歩かせない」「見守ってあげる」などめりはりのある対応が可能となります。
  • 出来事は忘れても感情は残る
    認知症は起こった出来事は忘れてしまいますが、強い口調で指摘をされるなど嫌な思いをした感情は消えません。「傾聴」「共感的理解」「肯定」など、受け入れる声掛けをすることで認知症の方の中の良い感情の維持ができます。
  • 一つにこだわると抜け出せない
    認知症の方は「こうしたい」「これでなければダメだ」「こうに違いない」と思ったことを否定されたり、考えを変えるよう説得されたりすると余計に頑なになってしまいます。ゴミの収集癖などもその一つです。状況によって対応は異なりますが、違うものに興味を移させる、場面の転換を図るなど間接的な対応が必要となります。
  • 自分に不利なことは認めない
    これは認知症の方にとって、自分の能力の低下を認めたくないための自己防衛本能が働いていると考えられます。記憶力と判断能力の低下により「人のせいにしている」という自覚はない為、割り切って対応する事も重要です。
  • まとめ

    家族が認知症になると悲しさや寂しさ、時には腹立たしい気持ちが湧いてくる事もあるかと思います。介護者の一番のストレスの要因は「周りの無理解」と「本人と意思の疎通が図れないこと」です。認知症の人へは共感姿勢と病気に対する正しい知識を持って対応して良い関係をつくっていくことが理想ではありますが、介護は長期化すればするほど家族への負担が大きくなります。

    身近な人に対して少しでもおかしいなと思うことがあれば早期発見の為にも一度かかりつけの内科医に相談しましょう。また、既に認知症を発症している方の場合は専門家の相談窓口や介護サービスなどを上手に利用して無理のない介護を心掛けましょう。

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